原産地証明書の記入方法について、記入欄別に解説します。作成にあたっては、典拠書類のCommercial Invoiceおよびその他の典拠書類に準拠していなければなりません。
1欄 Exporter(輸出者)
- 貿易登録のある英文社名、英文住所および国名(Japan)を記入します。
- 記載内容は、貿易登録情報および典拠書類のCommercial Invoiceに完全に一致している必要があります。貿易登録情報に基づいていれば、PO Box(私書箱)の記入も可能です。
特別な例外として、貿易登録企業が、海外に所在する輸出仲介者の代理申請を行い、かつ本欄にその記述を希望する場合は、「貿易登録企業A社 on behalf of 海外企業B社(B社の代理であるA社)」の記入が認められます。その場合であっても、輸入者の要求(L/C等)に基づいて随時変更することは認められず、申請にあたっては下記の条件を満たす必要があります。
申請条件
-
代理行為に関して、英文で作成された「船積書類作成等についての委任状」または「契約書写し」を添付すること
- 6欄または7欄8欄にExporter’s /Shipper’s statement(後述)として記載する場合、委任状等は不要
- B社が海外に所在する企業であること
- 典拠のCommercial Invoiceにも同様の代理行為に関する記載があること
A社 on behalf of B社の記載例
Osaka Motor Co., Ltd. 2-8, Hommachibashi, Chuo-Ku, Osaka, Japan
on behalf of ABC Corporation 1010 Wacker Dr., Chicago, Illinois 60611, USA
2欄 Consignee(荷受人)
- 典拠書類のCommercial Invoiceに記載された海外の荷受人名、住所、国名を記入します。ここでいう荷受人は、バイヤーやBill of Lading(船荷証券)上の権利者ではなく輸入国での荷受人を指します。
- 本欄に記入する国名は、原則として「5欄 Transport details」の仕向国と一致させる必要があります。
- 荷受人以外に、BuyerやNotifyの法人名、住所、国名を表記する必要がある場合は、「6欄 Remarks」に記入します。
例外として、三国間貿易や取引事情により輸入国での荷受人が掲載できない場合、指図式(To order)の記入が可能です。ただし、指図関係が不明瞭な場合、その関係を裏付ける根拠資料の提出を求めることがあります。なお、指図式の場合、住所(国名)の記入は任意となります。
指図式の記載例
- To Order of the Bank of Osaka
- To Order (BUYER) ABC Corporation 1010 Wacker Dr., Chicago, Illinois 60611, USA
*Print ORIGINAL or COPY
「ORIGINAL」、もしくは「COPY」と記入します。(このうち1枚以上はORIGINALとして下さい)
3欄 No. and date of Invoice(インボイス番号と作成日)
- 典拠書類のCommercial Invoiceの番号と作成日を記入します。Invoice番号がない場合は「NIL」と記入します。
- 日付は年(西暦)、月、日が一意に特定できる表現とし、「9欄 Declaration by the Exporter」の宣誓日と同日またはそれ以前でなければなりません。
記載例
OCC-IV0098
June 12, 2020
4欄 Country of Origin(原産国)
- 「7欄 Marks, numbers,……; description of goods」に記載する産品の原産国名(JAPANまたは外国の正式名)を記入します。(USA、UK、UAE等の略式記載は可能です)
-
複数の国の原産品が混載される場合には、複数国名を記入します。
- 複数国産品を混載する場合は、7欄の産品名の後にそれぞれの原産国(Made in 国名もしくは国名)を記入します。
5欄 Transport details(輸送ルート、手段の詳細)
- 典拠書類のCommercial Invoiceに記載された船積地(from)、仕向地(to)、便名/便区分(by)、およびその他必要となる情報を記入します。
- 経由地を記載する場合は、同地での積換えか一時保管のみを対象とします(輸出産品の原産性に影響するような加工がなされれば、原産地証明書は失効します)。
- 原則として、「2欄 荷受人 Consignee」の所在する国と仕向地が一致している必要があります。ただし、輸入国と揚げ地国とがいずれもEU加盟国の場合には、この限りではありません。
- 船積日(On or About)、経由地(Via)は必須の記入項目ではありません。
記載例
船積地(from):Osaka Port、Japan(国名必須)
仕向地(to):Jakarta, Indonesia(国名必須)
便名/便区分(by):sea またはair
6欄 Remarks(備考)
原則は空欄ですが、下記の内容であれば記載できます。
記載できる内容例
- 製造業者、End UserやBuyer等の法人名と住所、国名
- T/TやL/C at sight等の支払い条件に関する事項
- FOB(本船渡し)やCIF(運賃保険料込み渡し)等の貿易条件
- L/C Number等の信用状に関する事項
- Contract No.(契約番号)、Order No.(注文番号)、Proforma Invoice No.(仮送り状番号)、Insurance Policy No.(保険証券番号)、Import License No.(輸入承認番号)等の取引にかかる各種の番号
- 台湾向けに日本食品を輸出する場合の指定文言と産品の生産地の都道府県名
7欄 Marks,numbers, number and kind of packages; description of goods(荷印、荷番号、梱包数と種類、品目名)
8欄 Quantity(数量)
(1)Marks,numbers(荷印、荷番号)
輸出貨物に表示されている荷印と荷番号(ケースマーク)を記入します。ケースマークをテキストのみで表現したい場合で、色が指定されている時は、「Print in(色名)」「(色名)Printed」等の文言、図形を含む時は、「in Dia」「in TRI. (または Triangle)」等の文言を記入します。AirまたはCourier等で荷印が無い場合は、「No Mark」または「As addressed」等と記入します。
(2)Number and kind of packages(梱包数と種類)
梱包数と種類を入力します。
- 梱包形態別の表現
- Carton(段ボール)、crate(木枠)、box(小箱)、pallet(荷台)、bale(麻袋)、roll(巻物)
- 梱包されていないものの表現
- Unpacked、Loose、In Bulk(バラ荷)、Bare Cargo(裸荷)
- コンテナ輸送の表現
- Container(コンテナ数)
- その他の表現
- Packages
(3)Description of goods(商品名)
商品名総称および一般的な名称(HSコード6桁レベル)で表された個別の商品名、数量、単位を記入します。本欄には、典拠書類のCommercial Invoiceに記載のあるすべての産品を記入しなければなりません。異なる原産国の産品を混載する場合は、産品名の後にそれぞれの原産国(Made in 国名等)を記入します。
複数国産品を混載しており、一つの国のすべての産品に対して、原産地証明書を取得したい場合に限り、典拠書類のCommercial Invoiceから当該産品のみを抜き出して記入できます。
記載できない事項
- ブランド名、モデル番号、商品コード等のみの入力
- 産品の製造年や賞味期限
- 数量が不明確な表示(梱包数のみ等)
- 品質や性能に関する表現(first class, brand new, as is condition, as they stand, good working order or condition等)
- 曖昧で証明書の信憑性に疑念を抱かせる表現(S.T.C.; Said to contain, Approximately, E&OE; Errors and Omissions are excepted等)
(4)総数量、総重量
総数量または総重量と単位を記入します。数量が不明確な表示(梱包数のみ等)は認められません。
(5)取引関連情報
原則として、記入する必要はありません。ただし、必要に応じてExporter’s statement または Shipper’s statementという輸出者宣誓文に続けて、下記の取引関連情報を記入できます。
記載可能事項
- 中東向け原産地証明書において求められる非イスラエル産、イスラエル不経由(不寄港)宣誓文
- Proforma Invoice No.(仮送り状番号)、Contract No.(契約番号)、Import License No.(輸入承認番号)、L/C Number、製造業者名等
- 他の欄に記入しきれなかった文言(「*」に続けて文言の続きを記入)
9欄 Declaration by the Exporter(申請者宣誓)
申請者は、記入した内容が、商工会議所原産地証明書等貿易関係書類認証規程に定める原産地認定基準(日本産原産地証明及び外国産原産地証明)を満たすものであり、申告内容が真正で、虚偽や改ざんに対する責任を負うことを宣誓します。日付・場所、署名・英文氏名を記載します。
記入上の注意
<日付・場所>
- 月はアルファベット、日付は数字、年は4桁数字で記入します。
(例)Osaka, June 6, 2021 - 宣誓日は申請日から30日以内とします。
- 宣誓日は典拠書類のCommercial Invoice作成日以降、発給申請日までの日付を記入します。
- 宣誓場所は大阪以外の都市名も記入できます。
<署名・英文氏名>
- 貿易登録のある署名者本人が、黒字または青字で自署します。代理署名(For サイン)は認められません。
- 原産地証明書と典拠書類のCommercial Invoiceの署名が異なっていても、両方ともに貿易登録されていれば認められます。
- 肉筆要件がない場合、スタンプや印刷の署名でも申請が可能です。
- 英文法人名や役職等の記入は不要です。会社名を記入する場合は、登録内容と一致している必要があります。
10欄 Certification(会議所証明押印)
大阪商工会議所の使用欄です。窓口申請された日付が入ります。弊所が過去や未来の日付を記入することはありません。