〜成長路線に針路を取ろう〜 | 平成19年1月1日 |
謹んで新年のお祝いを申し上げます。 昨年の日本経済は、「いざなぎ」を上回る戦後最長の景気拡大が続くとともに、量的緩和・ゼロ金利解除という金融政策上の難所も大きな混乱なく越えるなど、全体として停滞期を脱し、企業も将来に向けた攻めの経営を本格化させた、印象深い1年であったと存じます。また大阪・関西においても、企業規模や業種によって依然厳しさは残るとはいえ、全国を上回る景気回復を実現しており、その活力が日本経済全体を牽引してきたといっても過言ではありません。 一方で、9月に安倍政権が発足し、憲法・教育問題など新しい国づくりに取り組むとともに、経済成長重視の方針を明確に打ち出しました。 経済成長こそ、足元の景気はもとより、財政再建や雇用拡大、安心できる社会保障制度の構築など重要な課題の解決に向けて、社会全体を力強く前進させる原動力であります。他方、地方行政は、制度疲労を露呈したともいえる官製談合や裏金づくりなどの不祥事が相次ぎました。地域の活性化に大きな役割を担うべき自治体には、自らを厳しく律し、これからの地方分権時代において当事者能力のあることを示していただきたいと存じます。 さて本年は、現在の景気拡大を持続させつつ、将来につながる芽を育て、国も地域も企業も「新たな成長ステージへの一歩を踏み出す年」にしていきたいと考えております。 これから我々が直面する新しい環境の下では、模範となるような先例は存在せず、また、規範や価値観も従来のものとはすっかり異なるものになると考えられます。このような「自己責任による選択の時代」とも言える中で、私ども企業経営者は、自ら適切な“解”を見つけ出し、あるいは創り出すことによって、新たな成長路線へと針路を取らねばなりません。 一方、安倍内閣におきましても、最大の眼目である成長戦略の具体策や優先順位を国民に提示し、スピード感をもって実行に移していくことが必要でありますが、中でも、経済の担い手である企業の自助努力を後押しする施策展開が不可欠であります。とりわけ、多くの雇用を抱え、産業のすそ野を支える中堅中小企業の元気をいかに引き出していくかが、個人消費を点火させるという観点からも何より重要と考えております。 また大阪・関西では、8月に関西国際空港第2滑走路の供用がスタートするとともに、夏から秋にかけて、「世界陸上」「世界華商大会」「アジア主要都市サミット」などの国際イベントが相次いで開催されるなど、世界に向けたトピックスが目白押しであります。一連の事業を地元一丸となって成功に導くとともに、大阪・関西から広く国内外に情報発信し地域ブランドの向上につなげることで、大阪・関西に賑わいを創っていくことが肝要と存じます。 大阪商工会議所も、今回の景気拡大を好機と捉え、大阪・関西の成長を強く意識して、産業競争力の強化や地域活力の増進に全力で取り組んでいく所存であります。 私どもは、この2年間、「大阪賑わい創出プラン」を推進し、産業振興・まちづくり・人づくりの分野において、51のアクションプランを実践してまいりました。その結果、例えば産業振興では、「次世代医療システム産業化フォーラム」、「情報家電ビジネスパートナーズ」といった事業において、医療機関のニーズやベンチャー企業のアイデアなどと、地域の企業の持つ技術力・商品化力とをマッチングする土俵づくりができ、具体的な成果が現れてまいりました。一方、昨年は、市民募金により建設された「天満天神繁昌亭」や「桜の会・平成の通り抜け」を含め、まちづくりにおける民の力量を再認識した年でもありました。大阪商工会議所におきましても、地域住民との連携により、大阪ミナミのアメリカ村やキタの茶屋町での「落書き消し」が実現し、「東横堀川の活性化事業」も大きく進展いたしました。 「大阪賑わい創出プラン」は、平成19年度が「第1次3カ年計画」の最終年となりますが、そこでは3年間の取り組みを総括するとともに、新たな課題を踏まえた「第2次中期計画」を検討・作成してまいりたいと考えております。 今一つの重点テーマは、申すまでもなく地域経済の鍵を握る中堅中小企業の活性化であります。私どもは、中堅中小企業の多くが経営課題として抱える人材の確保・育成、販路開拓、資金調達などの支援事業を充実させるとともに、業種や企業規模によって異なる様々なニーズにできる限りお応えするよう、きめ細かな事業に注力してまいりたいと存じます。 具体的には、支部のエリアチェンバー活動を更に推進し、中堅中小企業の皆様から日々の経営相談を承るホームドクター機能の拡充をはじめ、新規取引先の開拓をお手伝いする各種商談会の開催、若手やシニア人材の確保に資する事業などを引き続き精力的に実施していく所存であります。 大阪商工会議所は、本年もこうした地に足の着いた活動を着実に実行し、一つ一つ成果を積み上げることで、地域や企業から幅広いご支持が得られる「なくてはならない」経済団体を目指してまいりたいと存じます。 皆様方には、本年も一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申しあげます。 |
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